【住宅業界が大混乱】ウッドショックとは?原因と住宅市場への影響

目次

今、住宅業界では「ウッドショック」というキーワードが注目を集めています。テレビやニュースでは大きく取り上げられていませんが、ウッドショックは住宅業界に大きく影響を及ぼしています。

ウッドショックとは、世界的な住宅の需要増加によって木材が不足し、木材の価格が高騰している状況です。ウッドショックは住宅業界の企業だけでなく、これからマイホームを購入予定の人にも関係しているので、知っておいて損はない情報です。

今回は、

・ウッドショックとは何か

・ウッドショックが起こった原因

・ウッドショックによる住宅市場への影響

・ウッドショックはいつまで続くのか

などについて解説します。

この記事の結論は、「ウッドショックの収束を待つよりも、現状の相場で賢く購入するべき」ということです。記事の後半では新築住宅を低価格で購入するポイントを紹介するので、マイホーム購入を検討している人は参考にしてくださいね。

ウッドショックとは?住宅業界に何が起こっているの?

冒頭でも解説した通り、ウッドショックとは、世界的な住宅の需要増加で木材が不足し、価格が高騰している状況です。ウッドショックの影響が表面化したのは、2021年4月頃からです。

木材不足・価格高騰の影響で住宅の建設工事が遅延するなど、消費者にも影響が出始めているため、これからマイホームを購入する人にとっても他人ごとではありません。

1年で木材の取引価格が約5倍?

アメリカで使用される「ランバー材」という建材は、商品先物相場として株価のように値段が上がったり下がったりして取引されます。2021年4月のアメリカの木材先物相場は、2020年4月と比べて約5倍に上昇しました。

木材需要が高まっているアメリカでの価格高騰は、世界の木材価格に影響し、輸入に頼っている日本にも大きく影響しています。

日本で使われる木材の60%以上は輸入

林野庁によると、日本の木材自給率は37.8%(2019年)です。(参考元:林野庁 木材供給量及び木材自給率の推移)60%以上を輸入に頼っている日本は、海外の価格高騰の影響を受けやすくなっています。

特に現在不足している木材は、原産国がカナダのSPF材です。SPF材とは、松やもみの木など、3種類の樹木を混在させた建材になります。成長スピードが早い、加工しやすい、国産よりも安いなどメリットが多いため、多くのハウスメーカーや工務店で使用されています。

ウッドショックが起こった原因4選

2021年に起きたウッドショックの根源は、新型コロナウイルスの感染拡大です。しかし、ウッドショックが起こった原因には、さまざまな事情が絡んでいます。

ここでは、主な原因である以下4選について解説します。

・アメリカの新築住宅の着工数増加

・中国の景気回復による需要拡大

・コンテナ不足による運送コスト増大

・松くい虫による被害

アメリカの新築住宅の着工数増加

アメリカは、コロナ感染者数・死者数ともに世界最多です。しかし、ワクチン接種が急速に進んでいることから感染拡大が鈍化し、経済が回復しつつあります。

アメリカの住宅市場は、コロナ禍で一時的に低迷したものの、テレワークの拡大で郊外に広い家を購入する人が増えるなど、V字回復を遂げました。

また、日本でいう日銀の役割を担う、FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和政策の影響で、住宅ローンの金利が歴史的低水準となっています。この住宅ローンの低金利も、アメリカでの住宅需要増加を後押ししました。

アメリカで新築住宅の需要増加によって供給を圧迫していることが、ウッドショックの原因の一つです。

中国の景気回復による需要拡大

中国のワクチン接種は、世界的にも急速に進んでいます。ワクチンの効果も相まって、コロナの感染拡大が落ち着き、国内経済も回復傾向です。一部大都市では新築住宅の需要増加が見られ、住宅価格が上昇しています。

コンテナ不足による運送コスト増大

コンテナ不足とは、主にヨーロッパの港でコンテナが滞留してしまっている状態です。

コロナ禍でインターネット通販の需要が増加し、世界的に物流量が拡大しました。しかし、ヨーロッパの港に運ばれた荷物の処理が、ロックダウンの影響で追いつかず、コンテナが滞留したままの状態となってしまいました。

また、ロックダウンの影響で船便の本数自体も減っているため、物流が上手くいかず輸送費が上がっています。

コンテナ不足による輸入木材不足や運送費高騰が、ウッドショック加速させました。

松くい虫による被害

SPF材の原産国であるカナダでは、松くい虫が大量発生しました。松くい虫とはカミキリムシの一種です。松くい虫には寄生虫がいて、その寄生虫が松くい虫経由で松に移動し、松の中で繁殖することで松が枯れてしまいます。

松くい虫による森林被害が各地で発生したことも、木材不足に拍車をかけたと言われています。

【日本は森林大国】輸入がだめなら国産を安く買えないの?

日本の陸地面積に対する森林面積の割合は、OECD加盟国で第3位(2020年)となっており、日本には十分な森林があります。(参考元:林野庁  世界森林資源評価(FRA)2020メインレポートp3)国土の68%以上が森林となっているなど、豊富な資源のある日本ですが、「輸入がだめなら国産に」と簡単には切り替えられないことが現実です。

国産の木材を活用できていない理由

国産の木材を活用できていない理由は、以下2つです。

・輸入に頼り過ぎて国内林業が衰退してしまったから

・建材として利用できるまでに時間がかかるから

輸入に頼りすぎて国内林業が衰退

日本は、戦争で大量の森林を失っていますが、戦後に植林を続けてきたおかげで、現在のような森林大国になりました。しかし、森林が育つまでは半世紀レベルでの時間が必要だったため、その間、輸入に頼っていました。輸入に頼っていた期間が長かったことが、国内の木材自給率が減少した原因の一つです。

比較的安価に手に入る輸入材へ依存し、輸入材との価格競争で国内林業が厳しくなり、国内林業が衰退していきました。

木材の商用化は時間がかかる

森林を建材として使用できるようにするためには、一定期間が必要です。そのため、ウッドショックのように急激な需要増加に対して、すぐに供給を増やせることは難しいでしょう。

伐採のための要員の手配などで数ヶ月かかり、切り出した木材は乾燥させる必要もあります。

もともと需要増加に対応できる仕組みが整っていないことに加えて、建材として使用するまでに時間もかかるため、すぐに国産に切り替えることが難しいというのが現状です。

今後の国内林業の活性化に期待

輸入の割合と比べるとまだまだ低い数字ですが、国内の木材自給率は2000年頃から徐々に上がってきています。そのため、2021年のウッドショックは、国内の林業を活性化させるチャンスと言えるでしょう。

ウッドショックによってどんな影響があるの?

ウッドショックによって起こり得る住宅市場への影響について、解説していきます。

住宅の価格高騰

ウッドショックの影響でまず考えられることは、新築住宅の価格高騰です。ウッドショックが起こる前からある程度の木材を確保しているハウスメーカーでも、この状況が長期化すれば価格を上げざるを得なくなります。

具体的には、新築建売住宅のハウスメーカー各社では、一棟につき30万円~100万円程度の値上げを検討しているようです。

また、コンテナ不足による輸送費高騰に関しては、木材のみへの影響ではありません。住宅に使用する多くの部材に影響が出てくる可能性があるでしょう。

納期遅れで家計に打撃

注文住宅の場合、希望した時期に入居できない事態も考える必要があります。

注文住宅は、住宅ローンを借り入れて購入する人がほとんどです。木材不足の影響でハウスメーカーが仕入れを思うようにできず、住宅の完成が遅延すると家計にも影響を及ぼします。

例えば、土地代と建物代を別々のローンで組む場合、土地代のローン返済開始時期は土地の引き渡し日が基準になるケースが一般的です。つまり、住宅の工事が始まらなくても土地のローン返済は始まります。

土地の代金を先行して借り入れる場合、賃貸に住んでいる人は建物が完成するまで賃貸の支払と土地のローン返済を同時に行わなければいけません。

住宅の完成が遅延すれば、それだけ2重で支払う期間が長くなり、家計に影響します。

メーカーの生産停止や木材不足による仕様変更

こちらも主に注文住宅に関することですが、木材不足や価格高騰によって、予定していた木材を調達できなくなり、樹木の種類変更が行われ可能性もあるでしょう。

また、コロナの感染拡大の影響で、木材だけでなく、水回り設備など各設備のメーカーが生産中止になり、希望するメーカーを選べないということも考えられます。

過去に起こったウッドショックとは?

ウッドショックが起こったのは、今回で3回目です。過去のウッドショックは、1990年代と2000年代はじめに起こっています。

1995年、アメリカで絶滅危惧種のフクロウを保護するため、森林伐採の規制が進み、木材が供給不足となりました。一度目のウッドショックは、アメリカ産木材からヨーロッパ木材へシフトすることで、数ヶ月で収束しています。

2000年、熱帯雨林保護のためにインドネシア周辺の樹木が伐採禁止となり、日本で多く使用されていた合板(ベニヤ板を複数重ねた板)の価格が上昇しました。二度目のウッドショックは、国産材を利用することで供給が安定し、収束しています。

2021年のウッドショックは、過去のウッドショックと比べると、値上げ幅が最大となっているため、過去に前例がなく、住宅市場がパニックになっている状態です。

ウッドショックはいつまで続くの?

過去のウッドショックが短期間で収束していることから、今回も短期間で収束するという見方もあります。しかし、先述の通り、今回は過去に例がない最大の価格高騰となっているため、収束時期が読めずに業界が混乱している状態です。

また、住宅に限らず、さまざまな商品の価格は少しずつ値上がりしていきます。これと同じように、企業側としては、値下げしなくても売れている状態が続けば、価格を下げる必要がないと考えるのは普通ではないでしょうか。

「待っていたら安くなるかも…」と思っていたら、さらに高くなる可能性があります。現状の中で、少しでも安く購入する方法を考えることがベターだと言えます。

新築住宅を低価格で購入するポイント

待っていても価格が元に戻る保証はなく、いつ戻るかもわかりません。特に、注文住宅は契約後に部材を発注するため、価格高騰や納期遅れの影響を受けやすくなっています。

そのため、今の時期にマイホームを購入する場合、おすすめは「新築の建売住宅」です。ここでは、新築の建売住宅を安く購入するポイントを解説していきます。

値引き交渉する

住宅を購入する時期やタイミング、売り主の状況によっては値引き交渉できる可能性があるでしょう。ただし、値引き交渉にはいくつかの注意点があります。

以下の記事では、値引き交渉について詳しく解説しているので、興味がある人はご覧ください。

新築の建売住宅は値引きできる?賢く住宅を購入するポイント3つ – 株式会社みらい不動産 (mirai-f.co.jp)

仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ

不動産会社には、物件の所有者である売主の会社と仲介をする会社の2パターンあります。

売主である不動産会社から直接購入すると、仲介手数料は無料です。しかし、仲介会社のように各種手続きのサポートまでしてもらえない可能性があります。

高額取引で複雑な不動産売買契約では、仲介会社を経由することがおすすめです。

仲介会社を経由すれば仲介手数料がかかりますが、不動産会社次第では手数料を下げられる可能性があります。

ちなみに、当社は仲介会社ですが、仲介手数料はお客様からいただいておりません。仲介手数料を無料にしている理由は、「仲介手数料分のお金を、購入後の生活に使っていただきたい」という思いがあるためです。

仲介手数料に関する詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。

茨城県で新築戸建の購入なら仲介手数料無料のみらい不動産にご相談ください (mirai-f.co.jp)

ローコスト住宅も選択肢の一つ

ローコスト住宅と聞くと、品質が低いというイメージを持つ人もいるかも知れません。しかし、仕入れや工程の工夫などの企業努力によって、高い品質を保ったまま価格を下げているメーカーは多いです。

そのような優良ローコスト住宅を検討するのも、選択肢の一つです。

以下の記事では茨城県内のおすすめのローコスト建売住宅メーカーを紹介しているので、興味がある人はご覧ください。

【2021年版】おすすめのローコスト建売住宅メーカー(茨城県)9選 – 株式会社みらい不動産 (mirai-f.co.jp)

まとめ

ウッドショックは、住宅業界の企業だけでなくマイホームを購入予定の人にも影響を与えています。今回のウッドショックは、前例と状況が異なっているため、「安くなると思って待っていたら、価格がさらに高騰する」という可能性もあります。

時期を待ちすぎるとタイミングを失ってしまう可能性もあるので、今購入できる一番お得な方法で検討してみてはいかがでしょうか。