「うちの実家は大丈夫」が危険?空き家の「樹木・竹林の越境」で起きる近隣トラブルと知っておくべき法律
「住まなくなった実家だけど、建物もしっかりしているし特に問題はないはず」
そう思っていても、意外なところから近隣トラブルに発展してしまうケースがあります。その代表例が、庭木や竹林の「越境(境界線越え)」です。
放置された樹木が隣の敷地に伸びたり、落ち葉や害虫が原因でご近所の方に迷惑をかけたりすると、良好だった近隣関係が一変してしまうことも少なくありません。
今回は、空き家の樹木越境でよくある実例と、近年の民法改正で変わった法律上のルール、そしてトラブルを未然に防ぐための対策についてわかりやすく解説します。

1. 空き家の庭木でよくある「近隣トラブルの実例」
人が住んでいない家では、庭木の成長に気づきにくく、次のようなトラブルが発生しやすくなります。
枝や葉が隣家に侵入し、日当たりを遮る: 成長した枝がお隣の敷地まで大きく伸び、日当たりや風通しを悪くしてしまうケースです。
大量の落ち葉が樋(とい)や敷地を埋める: 秋から冬にかけて大量の落ち葉が隣家の敷地に落ち、雨樋を詰まらせて水あふれを起こすことがあります。
害虫(毛虫・蜂)の発生と飛散: 手入れされていない樹木には毛虫やハチの巣が発生しやすく、近所のお子様やペットに危険が及ぶリスクがあります。
台風や大雨による幹の折れ・倒木: 枯れ木や腐りかけた大木が台風の強風で折れ、隣家の屋根や車庫を破壊してしまう事故も発生しています。
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2. 知っておきたい!民法改正で変わった「枝の切除ルール」
以前は、隣の家の木から枝が自分の敷地に伸びてきていても、隣家(所有者)に切ってもらうよう請求することしかできず、勝手に切ることは法律で禁止されていました。
しかし、空き家問題の増加を受けて2023年4月に民法が改正され、一定の条件のもとで「隣人が越境してきた枝を自ら切除できる」ように変更されました。
隣人が枝を切除できるようになった3つの条件
以下のいずれかに該当する場合、お隣の住民は自ら枝を切り落とすことができます。
催告したのに相当期間(一般的には2週間程度)切除しないとき
竹木の所有者を特定できない、または所在が分からないとき
急迫の事情(台風で枝が今にも折れそうな時など)があるとき
所有者としての注意点: 「切ってもらえるなら任せればいい」と考えがちですが、費用が後から所有者(あなた)に請求されたり、切除を巡って「切りすぎだ」「大切な木だったのに」といった深刻な感情的もつれに発展したりするリスクがあります。お隣に負担や手間をかける前に、所有者自身で対処するのが一番の防犯・トラブル予防です。
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3. 万が一、害を与えてしまった場合の法的責任
万が一、実家の木が折れて隣家の建物や車を傷つけたり、人に怪我をさせたりした場合、所有者には法的責任が生じます。
工作物責任(民法717条の類推適用など): 土地の所有者は、その土地にある竹木の植栽や伐採の管理を怠り、他人に損害を与えた場合、過失がなくても損害賠償責任を負うことがあります。
損害賠償の額: 車の修理費用から建物の修繕費、場合によっては怪我の治療費まで、数十万円〜数百万円規模の負担になるケースも存在します。
「住んでいないから知らなかった」では済まされないため、定期的にお庭の状態を確認しておくことが重要です。
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4. トラブルを防ぐための3つのステップ
近隣の方と良い関係を保ち、法的リスクを避けるために、今すぐできる現実的なステップをご紹介します。
ご近所の方に連絡先を伝えておく: 「何か気になることがあれば、いつでもご連絡ください」と電話番号やメールアドレスを伝えておくだけで、相手の心理的負担は大きく減り、トラブルの芽を早期に摘むことができます。
年1〜2回の定期的な剪定・伐採を行う: 特に春先から夏にかけては植物の成長が早いため、梅雨前や秋口に一度プロの業者や伐採サービスを利用して、大きくなりすぎた枝を払っておくのが効果的です。
維持が難しい場合は「根本からの伐採(抜根)」を検討する: 今後誰も住む予定がないのであれば、毎年の剪定費用を払い続けるよりも、一度思い切って樹木を伐採・抜根してしまえば、将来的な管理コストもリスクもゼロになります。
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5. まとめ:早めの手入れが「一番の安心」につながる
実家の庭木は、かつてご両親が大切に育てていた思い出の品であることも多く、切ってしまうことに躊躇される気持ちもとてもよく分かります。
しかし、放置された樹木がご近所の方々の生活に支障をきたしてしまっては、ご両親も望まない結果になってしまいます。
まずは次の帰省時や休日に、敷地外から実家を見渡し、「お隣に枝が届いていないか」「落ち葉がご迷惑になっていないか」をチェックしてみることから始めてみませんか。早めの小さなお手入れが、あなたとご近所の双方を守る確実な備えとなります。